3月11日ニコニコ動画で音質の向上を図るアップデートが行われました。
実際に配信されるのは4月上旬予定です。

今回は新たに策定された基準を元に最高音質で投稿する方法を解説します。
Windows、Macどちらのソフトでも投稿できるように解説します。
AviUtlのみ専用の解説があります。
アップデート内容
簡単に纏めるとこうなります。
•従来はaacの192kbpsが最高音質
•今後は256kbps以上で投稿すると320kbpsに
•サンプリングレートが88.2kHz以上(ハイレゾ)なら576kbpsに
•コンテナとしてMKVとMOVが新規に対応、FLACなどのロスレス、PCMも投稿可能
•投稿は誰でもOKだが視聴はプレミアム会員のみ
生成される音質表はこちら
生成される音声の種類 | ビットレート | 投稿動画の音声形式 |
---|---|---|
高音質 (プレミアム会員限定) | 576kbps | サンプリング周波数が 88.2kHz or 96kHz 以上 (88.2kHz or 96kHz での配信となります) |
320kbps | 音声コーデックがPCMもしくはFLAC形式である or 音声ビットレートが256kbps以上 | |
標準音質 | 192kbps | 音声コーデックがPCMもしくはFLAC形式である or 音声ビットレートが192kbps以上 |
128kbps | 音声ビットレートが128kbps以上 | |
低音質 | 64kbps | -(制限なし) |
最高音質=ロスレスでの投稿
基本的に256kbps以上で投稿すれば320kbpsに変換されるので、現在の設定からビットレートを上げるだけでも十分です。
ただ、エンコードは重ねるほど劣化していきます。
大多数の人はAACに変換して投稿していると思うので、書き出しAAC→ニコニコ側AACと2度圧縮をしています。
劣化を感じる事ができるか?と言われると微妙ですが、今回は最高音質を目指しているので目を瞑ります。
他サイトとの比較
今回のビットレートは動画サイトとしてはかなり高音質な部類になります。
他サイトと比べると以下のようになります。
プラットフォーム | コーデック | ビットレート |
---|---|---|
YouTube (Opus) | Opus (VBR) | 最大160kbps |
YouTube プレミアム (Opus) | Opus (VBR) | 最大256kbps |
Spotify(無料) | Ogg Vorbis | 最大96kbps |
Spotify(有料) | Ogg Vorbis | 最大320kbps |
iTunes Store | AAC (VBR) | 256kbps |
上記のように320kbpsはSpotifyの有料版と同等の音質を提供しています。
Spotifyはまだハイレゾに対応できていないので、ニコニコ動画の方が音質の面では一歩前に出ているとも言えます。
向いている投稿ジャンル
ロスレスやPCMになるので容量が従来よりも大きくなります。
ゲーム実況や解説系などの長時間動画はわざわざロスレスで投稿するメリットは少ないと考えています。
音質が重要な動画も少なく、投稿時に320kbpsあれば十分だと思います。
恩恵を受けるのはボカロMVや音MADのような比較的短く音が大切な動画で、今回の記事もこれらの動画を想定して書いています。
大事なこと
高音質で投稿する場合、「単にロスレスや高ビットレートで出力すればいい」という訳ではありません。
編集段階から高音質の素材や音楽を使う必要があります。
例えばボカロMVを投稿しようとする場合、使用するファイルがmp3の128kbpsだったりすると、その後ロスレスで出力しようが結局は低音質のままです。
必ずPCM音源やFLACなど可逆圧縮を利用しましょう。
それらが手元にない場合はできる限り高音質の圧縮音源を用意しましょう。
因みに、ここで作成する動画ファイルはYouTubeとビリビリにも投稿可能です。
ただ、Xへの投稿は無理なのでそこだけ注意してください。
Xに投稿する場合はh264/aacの動画を別途書き出す必要があります。
作成方法 AviUtl編
運営が定めた仕様だと本来FLACを使わないと駄目ですが、調べた限りALACでも大丈夫だったのでAviUtlで導入が簡単な方法を解説します。
将来的に塞がれる可能性は否定できませんが、その時はまた記事を更新します。
なお、「x264guiEx」を導入している前提で進むので、導入してない方は開発者の解説を参考に導入してください。
AviUtl独自の注意事項
AviUtlでは編集途中でサンプリングレートを変えることはできません。
例えば96khzで投稿したい場合、プロジェクト作成時に音声レートの設定を忘れないようにしてください。
ただし、音声ファイルのレートと合わせないと滅茶苦茶になるので、不安な方は「読み込むファイルに合わせる」にチェックを入れましょう。

FFmpegのダウンロード
下記サイトにアクセスしてffmpegをダウンロードします
サイトに飛ぶと「latest~」という部分に最新のffmpegがあるのでダウンロードします。
どちらでも構いませんが、今回はfull.7zをダウンロードします。

解凍すると以下のようなフォルダが表示されるので「bin」を開いてffmpeg.exeを分かりやすい場所に移動させます。


いい場所が思いつかない人はAviUtlフォルダの中に入れると悩まないかもしれません。
出力設定を見直す
従来通り編集を終えて出力設定を見直して行きます。
プラグイン出力から「拡張x264出力」を選択しビデオ圧縮をクリックします。


音声タブの「エンコーダ」をクリックして「ALAC(ffmpeg)」を選択します。

すると、ffmpegの場所を指定するよう言われるので、保存したffmpeg.exeの場所にします。

下記のようにffmepgの場所が指定できたら、左側のx264タブも設定して「OK」を押します。

最後にファイルの種類と名前を決めて保存を押すと、mp4にALACが入った動画ファイルが完成します。

出来上がった動画ファイルの詳細はこんな感じです。

実際に投稿して確認する
3月18日追記
PC版のみですが自分が投稿した動画の高音質を聞くことができるようになりました。

プレイヤーの歯車をクリックして右側に表示される音質を確認します。
音質を変更した場合ページを更新しないと変わらないので注意して下さい。

現在はまだ音声を聞くことができないので、投稿時のエンコード情報で判断します。
48khzの場合

96khzの場合

残念ながら聞くことは叶いませんが、mp4に入れたALACでも問題なさそうです。
非対応の場合は最低音質しか変換されなかったり、投稿時にエラーが出るので問題なさそうです。
変則的なファイルですが、手軽に高音質で投稿できる優れた形式だと思います。
ただ、あくまで動画サイトに上げる専用のファイルなので、上手く再生できない場合があるかもしれない点は注意して下さい。
Windows11のデフォルトプレイヤーは再生できるはずです。
作成方法 Premiere Pro等
MKVToolNixをダウンロードする
音声と映像を別々に出力してツールで合成する方法を採用します。
下記のページへ行き最新版をダウンロードします。
Windows
Mac
インストーラー/ポータブルどちらでもいいですが、今回はポータブルにします。

解凍したフォルダを好きな場所に置いて準備完了です。
動画と音声をそれぞれ出力する
今回はPremiere Proの画面で解説しますが、どのソフトを利用しても同じです。
まず、これまで通り動画を出力します。(例:VIDEO.mp4)
X(Twitter)への投稿を考えるとH.264/AACがベターだと思います。
次に、書き出し形式を変えて音声のみ出力をします。(例:MUSIC.wav)
その際にFLACやPCMにするのを忘れないようにしましょう。

音声を再出力する理由は合わせた時に音ズレしないようにする為です。
「投稿したあと確認したら画面とズレてた」なんて事がないようにしっかり用意しましょう。
MKVToolNixを使用してmux(合成)する
先ほど解凍したファイルを開いて「mkvtoolnix-gui.exe」をクリックします。

開いた画面に、先ほど作成した「VIDEO.mp4」と「MUSIC.wav」をドラック&ドロップで放り込みます。
下記のようなダイアログが表示されると思いますが、「現在の多重化設定~」の選択肢でOKを押しましょう。
毎回表示されるのが嫌な方は、一番下の「常に上で~」にチェックを入れると出てきません。

すると、下記のように入力されたファイルの情報が表示されるので、「AVC」と「PCM」にだけチェックを入れます。

その後、保存先と名前を設定して「Start~」をクリックします。
再エンコードするわけじゃないので、動画の長さによりますが早く終わります。
出来上がったファイルはこのようになります。

実際に投稿して確認する
3月18日追記
PC版のみですが自分が投稿した動画の高音質を聞くことができるようになりました。

プレイヤーの歯車をクリックして右側に表示される音質を確認します。
音質を変更した場合ページを更新しないと変わらないので注意して下さい。

現在はまだ音声を聞くことができないので、投稿時のエンコード情報で判断します。
48khzの場合

96khzの場合

mkvファイルの再生について
windowsに付属しているデフォルトのプレイヤーは再生に対応してないと思われます。
VLCなどの他のプレイヤーなら再生できるのでそちらで確認して下さい。
スマホアプリでの投稿について
編集アプリによって対応している出力が違いますが、可能であればMKVかMOVで出力します。
MKVとMOVはリニアPCMやFLACで出力できるからです。
編集アプリが対応してない場合はできる限り音声ビットレートを高くしたmp4で投稿します。
ただ、現在のニコニコ動画はh.264かAV1しか映像コーデックが対応してないので注意して下さい。
これらのルールを守ればどの編集ソフトでも高音質で投稿できるでしょう。
終わりに
今回はニコニコ動画に最高音質で投稿する方法を解説しました。
圧縮音源で投稿した時と大きな差が生まれるか微妙なラインですが、YouTube、ニコニコ動画、ビリビリに同じファイルで投稿できるのは大きなメリットだと思います。
自己満足の世界ですが、ぜひ一度投稿してみて下さい。
それでは!
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