ニコニコ動画 新配信サーバー/エンコード仕様 まとめ ※2023/11/16追記

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ニコニコ動画が11月より新配信サーバーに移行を開始したので素人ながら調べました。

公式のお知らせはこちら

【2024/5/8追記:動画投稿者向け】11月より動画配信サーバーの移行作業を開始しました【ニコニコ動画】|ニコニコインフォ
【2024年5月8日(水)14:45追記】 本日、旧動画配信サーバーを停止いたしました。 今後ともニコニコをよろしくお願いいたします。 【2024年3月28日(木)19:00追記】 いつもニコニコをご

要約すると以下のようになっています。

  • 旧配信サーバーの動画はそのまま移行(再エンコードはしない)
  • 新規に投稿される動画はランダムに新配信サーバーでエンコード
  • 推奨フォーマットの変更
  • 144pの追加

推奨フォーマットの変更は映像プロファイルをHighにするだけで、今までのBaselineやMainProfileを投稿することは可能です。


旧サーバー新サーバー
映像H.264/AVC,Baseline profile, Main profile, High profile
24fps、30fps、60fps の固定フレームレート
キーフレーム間隔:10秒以下
H.264/AVC,High profile
24fps、30fps、60fps の固定フレームレート
キーフレーム間隔:10秒以下
引用:https://blog.nicovideo.jp/niconews/205042.html

144pの追加もトランスコード(複数画質を用意するエンコード)に低画質を加えるだけなので、投稿者は気にする必要はないです。

それでは実際に新サーバーがどんなものか見ていきましょう。

新配信サーバーの特徴

KADOKAWAの決算資料やサービス開発者へのインタビューから判明していましたが、ニコニコはオンプレ(サーバーを自前で管理)からパブリッククラウドへ移行を進めています。

ユーザーにより良い視聴体験を!“ニコニコ”の基盤システム新規開発に携わるメンバーインタビュー | 【仕事を知る】エンジニア職 -engineer-
ドワンゴでは、ニコニコ、教育、モバイルなどの各サービスや事業によって事業本部が分かれ、その中にエンジニアや企画などの各メンバーが所属しています。今回は、ドワンゴで最も社員を抱えている「ニコニコサ...

ニコニコが使用しているのはAWSというAmazonが運営しているクラウドサービスです。

これまではDMCと呼ばれる自社サーバーで構築された配信基盤を利用していたようですが、今回からクラウドに変更され、新配信基盤の名称も「DMS」になりました。

Dwango Media Clusterとは (ドワンゴメディアクラスターとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
Dwango Media Cluster(ドワンゴメディアクラスター)とは、ドワンゴが開発したniconicoのメディア配信サーバである。通称「DMC」「新配信サーバ」。 概要 ニコニコ動...

IPv6対応・Amazon S3の利用

これまで動画配信サーバーのドメインはdmc.nicoでしたが、新しい配信サーバーではdelivery.domand.nicovideo.jp/asset.domand.nicovideo.jpに変更されました。
下記は動画視聴時のログです。

旧配信サーバー

[2023/11/08 00:18:01] /watch/so42905310 のページを表示します。(GUdqoSB6Ny_1699370253686)
[2023/11/08 00:18:02] コメントの取得を開始しました。(https://nv-comment.nicovideo.jp)
[2023/11/08 00:18:02] 動画視聴セッションを作成します。 (リトライ回数: 0)
[2023/11/08 00:18:02] 動画視聴セッションの作成に成功しました。(https://api.dmc.nico, archive_h264_360p, archive_aac_192kbps)
[2023/11/08 00:18:02] 動画の読み込みを開始しました。(https://vodedge841.dmc.nico/hlsvod/ht2_nicovideo/nicovideo-so42905310_05c8a1bc060af598ea518a88dd92b59805e7e9ca8f891022d161816fea0b9bbe/master.m3u8?ht2_nicovideo=23136286.g03jaktqaf_s3rei3_3gjpt1kh3txcw)

新配信サーバー

[2023/11/08 00:19:42] /watch/sm42983761 のページを表示します。(Dbf33jNsMr_1699370281982)
[2023/11/08 00:19:42] コメントの取得を開始しました。(https://nv-comment.nicovideo.jp)
[2023/11/08 00:19:42] 動画視聴権限を取得します。(リトライ回数: 0)
[2023/11/08 00:19:42] コメントの取得が完了しました。 (183ms)
[2023/11/08 00:19:43] 動画視聴権限の取得に成功しました。(video-h264-1080p, audio-aac-192kbps)
[2023/11/08 00:19:43] 動画の読み込みを開始しました。(https://delivery.domand.nicovideo.jp/hls/6546cc4ea033b5fa54121f7d/playlists/variants/7d7896c56598baea.m3u8)

今回閲覧させて頂いた動画はこちらです。

動画ファイルそのものはasset.domand.nicovideo.jpで配信されています。

こちらは開発者ツールで映像ファイルを見たものです。

リモートアドレス(通信先のIPアドレス)がIPv6になっている事サーバーがAmazonS3になっている事が分かります。
X-CacheがMissになっていますが、AmazonのCDN、Cloudfrontを利用していることも判明しました。

CMAFを利用した配信へ

CMAFとは簡単に言うと現在ニコニコが利用している配信方式HLSと主にYouTubeやビリビリが利用しているMPEG-DASHという配信方式、どちらでも同じ動画ファイルを使えるようにする規格です。

詳しく知りたい方はこちらでご覧ください。

CMAF とは?
この記事は、当社パートナーの Wowza Media Systems の記事 ( の翻訳記事です。この記事では、HLS ストリーミングプロトコルを詳しく説明します。

この配信の特徴は音声と映像が別々に配信されている点にあります。

これまでのニコニコ動画では.tsというファイルに映像と音声が入っていましたが、新配信サーバーではそれぞれ別々に配信されています。

開発者ツールで確認(映像と音声がそれぞれ読み込まれている)

特に視聴中は動画と音声がそれぞれ読み込まれているので違いがはっきり分かります。

.cmafa(音声)と.cmafv(映像)が同時に流れてくる

視聴する際に困ることは特にありませんが、次に紹介する配信の暗号化を踏まえるとこれまでのツール(特にダウンロード系)が使えなくなる可能性が高いです。

今後新配信サーバーの利用は増える一方なので、ツール開発者や利用者は早めに対応をしたほうが良いと思います。

エンコードについて

動画をダウンロードしての確認はできていませんが、これまでと変わって無いと思います。

映像:H.264/AVC 音声:AACという昔から使用しているコーデックのままです。

少なくともVP9やAV1、opusといったコーデックは間違いなく使用されてないです。

現在確認できるのはm3u8ファイルに記載されている平均ビットレートくらいなので見ていきたいと思います。

自分は投稿動画も新配信サーバーになっていたので、4K60fpsの動画を投稿した時のマニフェストを記載しておきます。

#EXT-X-INDEPENDENT-SEGMENTS #EXT-X-MEDIA:TYPE=AUDIO,GROUP-ID=”audio-aac-192kbps”,NAME=”Main Audio”,DEFAULT=YES, URI=”https://delivery.domand.nicovideo.jp/hls/654a4df92f4babf95b2b06b2/playlists/media/audio-aac-192kbps.m3u8″

#EXT-X-STREAM-INF:BANDWIDTH=7830518,AVERAGE-BANDWIDTH=6308082,CODECS=”avc1.64002a,mp4a.40.2″,RESOLUTION=1920×1080,FRAME-RATE=60.000,AUDIO=”audio-aac-192kbps” https://delivery.domand.nicovideo.jp/hls/654a4df92f4babf95b2b06b2/playlists/media/video-h264-1080p.m3u8

#EXT-X-STREAM-INF:BANDWIDTH=3030821,AVERAGE-BANDWIDTH=2253274,CODECS=”avc1.4d4020,mp4a.40.2″,RESOLUTION=1280×720,FRAME-RATE=60.000,AUDIO=”audio-aac-192kbps” https://delivery.domand.nicovideo.jp/hls/654a4df92f4babf95b2b06b2/playlists/media/video-h264-720p.m3u8

#EXT-X-STREAM-INF:BANDWIDTH=2829141,AVERAGE-BANDWIDTH=2260845,CODECS=”avc1.4d4020,mp4a.40.2″,RESOLUTION=854×480,FRAME-RATE=60.000,AUDIO=”audio-aac-192kbps” https://delivery.domand.nicovideo.jp/hls/654a4df92f4babf95b2b06b2/playlists/media/video-h264-480p.m3u8

#EXT-X-STREAM-INF:BANDWIDTH=1056231,AVERAGE-BANDWIDTH=840344,CODECS=”avc1.4d401e,mp4a.40.2″,RESOLUTION=640×360,FRAME-RATE=30.000,AUDIO=”audio-aac-192kbps” https://delivery.domand.nicovideo.jp/hls/654a4df92f4babf95b2b06b2/playlists/media/video-h264-360p.m3u8

#EXT-X-STREAM-INF:BANDWIDTH=439754,AVERAGE-BANDWIDTH=384752,CODECS=”avc1.4d401e,mp4a.40.2″,RESOLUTION=256×144,FRAME-RATE=30.000,AUDIO=”audio-aac-192kbps” https://delivery.domand.nicovideo.jp/hls/654a4df92f4babf95b2b06b2/playlists/media/video-h264-144p.m3u8

これを見る限り再エンコード後のビットレートが上がっている感じはしないですね。
あくまで予想なので確定ではないですが、期待は全くできません。

因みに再エンコード後の目標ビットレートは、旧配信サーバー時代より以下のようになっています。

30fps60fps
256×144300kbps300kbps
640×360600kbps600kbps
854×480最大2Mbps最大2Mbps
1280×720最大2Mbps最大2Mbps
1920×1080最大4Mbps最大6Mbps
実際は結構ブレます

144pが追加されましたが、動きが激しい動画は海面を見ているのかな?ってくらい何も分からないです。

今後どうなるのか

環境によって旧サーバーだったり新サーバーだったりでまだまだ時間が掛かりそうだと思いました。

アップロード制限やエコノミー等の規制緩和はサーバー完全移行後でないと来ないと思います。

旧サーバー新サーバーどちらでエンコードされるか今の所ランダムなので、古い方にフォーマットを合わせたのだと推測しました。

ただ、新配信サーバーはCDNを利用したりIPv6に対応するなど現代水準のサーバーにリニューアルされたのでかなり快適になると思います。

.nicoというTLDはニコニコが所有しているのですが、新配信サーバーでは使用していないので少し気になりました。

上記で紹介した配信基盤の開発記事でも触れてたように、今後はニコニコ生放送のリニューアルも待っていると思うので個人的には楽しみです。

ニコ生は配信以外の部分が既にAWSに変わっているので、配信基盤が変わればオンプレ卒業になりそうですね。

サーバーは既にAmazonに

終わりに

ど素人なので説明に間違いがあったりするかもしれませんが許して下さい。

長い間オンプレでやってきたサービスがクラウドに移行するのは時代の流れだなぁと感じました。

個人的にはニコニコを応援しているので、今後も頑張って欲しいと思っています。

最後になりますが、少しでもこの記事が面白かったら幸いです。

それでは!

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