先日、ニコニコ動画(Re:仮)のシステム調査をしたのですが、矢先にニコニコ生放送が仮復旧しました。
なので、ニコニコ生放送(Re:仮)も調査していきます。
サイバー攻撃を受けたデータセンターに頼っていた配信部分がどうなっているかも含めて見ていこうと思います。
どんな構成なのか
Wappalyzerで調べると以下のようになっています。
ニコニコ動画(Re:仮)では「Remix」「Apache」が使われていましたがニコニコ生放送(Re:仮)では「Nginx」が使用されています。
また、ニコニコ生放送でも動画と同じようにコメント投稿時にCloudflare Turnstileの判定が入るようになっています。
こちらも荒らしコメントに対する牽制だと推測されます。
生配信機能について
ニコニコ生放送は今回攻撃を受けたデータセンターに配信基盤を持っていました。
その為、他社のシステムを流用するか、現在開発しているシステムを前倒しするしか復活はないと前回の記事に書きました。
実際はどのように仮復旧したのか見ていきたいと思います。
配信基盤について
調べた所、仮復旧はAWSのサービスを使用したようです。
レスポンスヘッダーで確認しましたが、AWS Elemental MediaPackageを使用していると思われます。
HLSを利用して配信されており、「.tsファイル」がAmazonのCDNのcloudfrontから配信されています。
HLSについて
CDNについて
映像について
公式のQ&Aにあるように画質選択機能がなく、マニフェストを開いても一つのストリームしかありません。
24年6月19日時点の映像品質
- 解像度:1280×720
- 映像ビットレート:平均2000kbps
- 音声ビットレート:160kbpsくらい
- フレームレート:59.94fps
- セグメント長:2秒
遅延がどれほどあるか調べる術はありませんが、通常の配信であればニコ生の倍はあると考えられます。
CDNを通すことや多くのユーザーに安定して配信するにはバッファを大きくすると思われるので、低遅延は今のところ諦めた方がいいでしょう。
個人的にはこの配信に59.94fpsはいらないと思いますが、今後過去のニコ生で配信したコンテンツを放送するとの事で実験も兼ねているのかもしれません。
個人的には生放送の過去コンテンツが無事だった事に驚いています。
コメントについて
この辺りのこと何も分からないのでコメントした際にどこにアクセスしているか確認しただけですが載せておきます。
感じたこと
生放送の配信基盤リニューアルはインタビューやXのポストを見る限り1年程先だったと思うので、今回の件で予定が大幅に狂ったのではないかと考えています。
ニコ生の魅力として超低遅延があり、AWSでも実現できないことはないそうですが、これほどの低遅延を多くのユーザーに提供できるのか不安です。
2021年5月13日(木)より、PC版ユーザー生放送へ、新しい配信方式を導入いたしました。
https://blog.nicovideo.jp/niconews/152064.html
この配信方式では、従来のPC版ユーザー生放送で低遅延設定を[ON]にした場合に発生していた3秒〜4秒台の遅延時間が、2秒〜3秒台(運営調べ)になります。
現在アカウント無しでコメントできるので、BOT判定としてCloudflare Turnstileというシステムが導入されているというお話をしました。
個人的にはニコ動、ニコ生が本格的に復旧しても導入したままでいいと思います。
アカウント制でもスクリプトで荒らす人間はいるのでかなり治安が良くなるのではないかと考えています。
あと、動画は本格的な復旧が見込めないと広告を配信することは難しいでしょうが、生放送はバナー広告程度であれば付けても権利的に大丈夫ではないかなと思いました。
終わりに
仮復旧のやり方から、AWSを通じての本格的な復旧が見えてきたニコニコサービスですが、一日でも早い通常営業を期待しています。
エンジニアの方も大変だと思いますが、頑張って欲しいです。
良ければニコ生もどうぞ
参考にしたサイトなど
ユーザーにより良い視聴体験を!“ニコニコ”の基盤システム新規開発に携わるメンバーインタビュー
https://www.wantedly.com/companies/dwango/post_articles/466059
dwango_tech
https://x.com/dwango_tech/
「ニコニコ生放送(Re:仮)」の FAQ
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