追記 7/24移行、ロゴ、名前、アプリ等がXに変更されTwitterブランドとの決別が進んでいる。
Twitterが終わりを迎えようとしている。
2023/7/23、マスク氏は自身のTwitterにて「Twitterの名称とロゴを変える」と宣言、更にドメインのtwitter.comを廃棄してx.comにする予定だとリプライを通して発表。
変更後Twitterは「X」になり、10年以上続いたTwitterブランドと鳥のロゴに終止符を打つ形になると考えられている。
何故Twitterブランドを捨てるのか、それは買収前にイーロンが話していたある野望が関係している。
今回はブログの趣向を変えて、マスク氏の狙いと今後のX(旧Twitter)の変化を考えようと思う。
買収前からTwitterが無くなるのは分かっていた
多くの方は「TwitterをXに名称変更するなんて狂ったのか?」、「またイーロンが行き当たりばったりで行動している」と思うだろう。
しかし、買収前のインタビューに目を通すと考えが変わる。
同氏は5月に出演したPodcast番組「All-In」で、米国にはスーパーアプリが必要だと語った。「Twitterをスーパーアプリに変えるか、新たなアプリを立ち上げるかにせよ、何らかの形で生み出す必要がある」
「中国では、人々はWeChatで生活しているようなものだ。WeChatは何でもできる。TwitterとPayPal、その他のさまざまな機能が1つで実現でき、インターフェースも優れている。中国以外にはそのようなアプリは存在しない」(Musk氏)
https://japan.cnet.com/article/35194274/ Twitter買収に動くE・マスク氏、目指す「万能アプリX」とは?2022年10月14日
つまり、マスク氏は最初からTwitterをスーパーアプリ化する予定だったのだ。
スーパーアプリとは即ち支払いや連絡、送金、病院の予約など生活する上で必要なことを一つのアプリにまとめたものである。
日本で言えばLINEが近いが、マスク氏が例として出したWeChatはLINEの比ではないほど多機能なものである。
主な機能として、特定の人物とのメッセージ交換はもちろんのこと、オンライン通話、オンラインショッピング、支払い、送金、タクシーの予約、チケット予約、税金の申請、オンライン診察、健康状態の証明など生活のほとんどがこのアプリ1つで完結してしまうような幅広い機能を有しています。
https://www.infocubic.co.jp/blog/archives/4747/
マスク氏はこのWeChat版Twitterをアメリカ、そして世界に展開したいと考えているのだ。
言い換えるならば、買収前から日本人が望むTwitterとは全く違う物を目指しており、マスク氏に買収された時点で今のTwitterは余命宣告を受けていたのだ。
しかし、何故急とも言えるリブランドを今図ったのだろうか。
ここからは想像になるが、恐らくTwitter単体では資金繰りが間に合わず、当初の予定より早くスーパーアプリ化を目指す事になったのだと考えている。
ボロボロの財務状況とライバルの出現
買収後まもなく資金繰りに苦労していると世間を賑わせていたが、ここ最近も悲惨な財務状況だったと発覚した。
ツイッターのオーナー、イーロン・マスク氏は15日、昨年10月に440億ドルでツイッターを買収した後、広告収入が半減したことを明らかにした。
マスク氏はさらに16日には、6月に期待されていた収入増が実現しなかったものの、7月は「それよりは少し期待できる」と書いた。
https://www.bbc.com/japanese/66219200
また、Metaが対抗SNS、Threadsを発表し、Twitterユーザーを奪おうと画策している。
しかし、まだ機能不全でアクティブ数も減少している状態だ。
このような状況の中、Threadsとの差別化、キャッシュフローの改善を目的にマスク氏がTwitterの本格的な解体、並びにスーパーアプリ化へ早期に舵を切ったのではないか。
裏を返せば、今のTwitterに金を稼ぐポテンシャルは全く無い、と判断したことになる。
その場合、Xは従来と大きく変更され、別物になる可能性を秘めている。
そこで気になるのは、今後日本のTwitterユーザーはどうなるのか?という問題である。
今後は日本軽視、アメリカや世界向けの展開へ?
今でも数千万人の利用者がいる日本を軽視するのか?という疑問も湧き上がるが、今のTwitterで稼げないのであれば無視しても問題ない、と考えていても不思議ではない。
金にならないユーザーを大事にするような温情をマスク氏が持っているか?という問いに首を縦に振れる人は少ないだろう。
ただ、マスク氏が冷たい人間だから日本を切り捨てる、という問題だけでは無い。
日本での展開はリスクが伴う
マスク氏はスーパーアプリの例としてWeChatを上げていたが、日本では既にLINEやPayPayなどが大規模な投資を数年前に行い、巨大なシェアを握っている。
スーパーアプリで重要な機能になる送金サービスを日本でX社(旧Twitter社)が展開する場合、LINEヤフー連合やソフトバンクと本格的なパイの奪い合いになる事が予想される。
資金繰りが厳しいX社にそんな体力があるのだろうか、という疑問が一つ。
もう一つは日本で送金をする場合、資金決済法に準ずる必要がある、という点である。
https://tokyo-startup-law.or.jp/magazine/category01/fund-settlement-act-revised-in-2020/
資金移動業の種類 送金可能な金額の上限 規制の概要 第一種資金移動業 上限なし 認可制・高額送金にはリスクが伴うことから厳しい要件が課される 第二種資金移動業 1回あたり100万円未満 登録制・法改正前とほぼ同じ要件が課される 第三種資金移動業 数万円程度(政令で指定) 登録制・規制緩和により従来よりも負担の少ない規制が課される 引用 資金決済法2020年改正で資金移動業が3種類に!第一種・第三種新設による影響は?
多くの人材を削ったX社が日本の法律に対応する能力があるのだろうか。
現在の財務状況ではアメリカや英語圏でサービスを提供する事が精一杯ではないか。
競合サービスからシェアを奪う難しさ、送金額によって異なる法律の厳しさ、以上の点から、X社が日本市場に力を入れるメリットが薄く、日本ユーザーは今後放置されるのではないかと考えている。
Twitterの行方
本格的にX化が完了した場合、日本のTwitterユーザーは混乱するだろうと考えている。
マスク氏がやっている事は現実の自分とTwitterアカウントを強く結びつける事と同義であり、オタク的な風合いが強い日本のTwitterユーザーと噛み合うとは思えない。
今後スーパーアプリ化が進むに連れて元のTwitterは影が薄くなり、匿名は邪魔な存在として排除される未来が待っているのではないか。
もし、表面上は匿名が維持される場合でも、電話番号だけではなく更に他の個人情報と紐付けられる可能性もあるのではないか。
恐らく、今後TwitterはLINEでいうVOOM的な存在になり、スーパーアプリの一部として消費されるだけだろう。
ただ、これはあくまでX社が今後日本でもサービスを展開する前提だが、突然X社が日本語のサポート打ち切りを発表する可能性も決して低くないと考えている。
それほど、今のTwitterは不安定で信用に値しないサービスになってしまったのではないか。
これまでマスク氏の運営を見てきてハッキリしているのは、昔のTwitterは二度と戻ってこず、日本ユーザーにとって改悪しか待ち受けてないことだろう。
もし、Twitterの名前が存続できたとしても、中身が別物になるのは間違いない。
なぜなら、既存のTwitterを土台にして新しいサービスを作ることが、マスク氏の野望だからである。
私感
マスク氏も冗談でTwitterを買うと言ったら買わされた身なので可哀想ではあるが、散々ユーザーを引っ掻き回し、規制し、自分の野望の為に歴史を捨てる選択をしてしまったのは残念でならない。
マスク氏は早期の段階から経営に携わり成功を収めてきた人物であるので、Twitterを買収しても上手く行かないだろうと考えていた。
結局、同じパターンを実行するために名前とロゴというブランドを消し、作り直す事にしたのは仕方がないが、巻き込まれるユーザーを少しでも考えて欲しかったと強く思う。
全体のアクティブユーザー数でみれば一部でしかない日本のユーザーではあるが、もう少し案じてくれても良かったのではないか。
ただ、今やTwitterは完全に彼の持ち物であり、他人が一切口を出すことができない状態なのは受け止めなければならない現実である。
見る専でたった8年の新参であったが、私の人生にとって大切だったサービスを心に刻もうと思う。
https://www.threads.net/@niconicofive
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